まろやかな香りと透き通った黄金色、埔里といえば台湾が世界に誇る紹興酒の存在を忘れることはできません。紹興酒は中華料理の宴席にはなくてはならないお酒です。日本では温めたものに砂糖を入れて飲むことが多いようですが、台湾では梅やレモンスライスを入れてそのまま飲みます。この紹興酒の生産地として有名なのが埔里です。
埔里の紹興酒は台湾でも一二を争う良質の水が湧き出る愛蘭泉の水を使って造られます。水質が命ともいえる醸造のもっとも重要な条件に埔里は恵まれていたことが、この地を紹興酒の一大産地にしたといえるでしょう。埔里の醸造の歴史は1917年、埔里酒廠が設立されたことによって始りました。それ以来、日本の統治時代には天皇陛下御用達の「萬寿酒」、台湾が中華民国に復帰してからは総統主催の国宴に用いられた「介寿紹興酒」、最近では市場で人気の「愛蘭白酒」といつの時代も最高級の酒を造り続けて来ました。
現在、同工場では紹興酒について、さらに多くの人たちに知ってもらおうと工場見学コースを設けています。この中では、紹興酒を造る過程の見学のほか、紹興酒を使ったアイスキャンディーをはじめ、さまざまな新開発の食料を試食することもできます。
また、1995年には台湾で始めての酒に関する文物館が設立されました。館内には中華民国公売局が現在販売している各種のアルコール類や芸術性のきわめて高い酒壷などが展示されています。