舞鶴観光茶園は花蓮県瑞穂郷の紅葉渓と秀姑巒渓の合流地点から西南方向に進んだ河岸段丘上にあります。日本統治時代、ここでは日本人によってコーヒー栽培が行われていましたが、戦後は荒れるに任されました。1973年、台湾省農林庁の調査により、舞鶴地区の気候と風土は茶葉栽培に適していると認められ、それ以後茶葉栽培が開始されました。台湾省茶葉改良センターが不断の品質改良と指導を行った結果、徐々に品質が向上し、知名度も上がってきました。茶葉改良の研究に多大な貢献をした銭天鶴博士と農業発展会の主任委員であった李崇道氏を記念して、ここで生産された茶葉は「天鶴茶」と名付けられています。全台湾の茶葉の中ではやや後釜ですが、なかなかの質を誇ります。
舞鶴台地をドライブしていると、山肌に一面の茶畑を眺められます。ここには30~40軒の農家が点在しており、自分たちで焙煎、販売を行っています。それぞれの茶園には独自の製茶方があり、青心烏龍茶、金萱茶、翠玉包種といった烏龍茶の品種を生産しています。厚くて柔らかい茶葉は、風味豊な味わいで、お茶好きにも好評です。
数年前、ある茶農家では花蓮県が推進する「無毒農業栽培」に協力し、茶畑に農薬を散布しませんでした。その結果、多くの茶葉がウンカに咬まれてしまいました。ところがこの茶園のオーナーが問題の葉を焙煎したところ、独特な蜜のような香りをすることが分かりました。絶え間ない試行錯誤を繰り返した結果、淡いフルーツの香りと蜜の香りがする「蜜香紅茶」という新たなブランドが創りだされました。 2006年の第一回「天下名茶大会」では紅茶部門で金賞を受賞し、現在では舞鶴観光茶園の期待の星となっています。