「階段を一段多く登るごとに、二十秒長く生きられる」と言う人がいますが、もしこの話が真実であれば、指南宮に一度行った人は、寿命が十時間の増えることになります!
指南宮の俗称は「仙公廟」といい、孚祐帝君をまつっています。孚祐帝君は八仙の中の呂洞賓のことです。言い伝えによると仙公呂洞賓は仙人になった後、時おり人間界へやって来て、人々を迷いから導いたため、民間の信仰の中でとても人々と縁のある神様です。
指南宮は猿山に位置するので、車道或いは山の裏の小路から登って行くことができます。小路には約千二百段の階段があり、階段の両側にはとても多くの石柱があります。これは日本の殖民地統治時代に信者が奉納した石燈籠で、柱の中に油を入れて火がつけられるようになっています。階段を約百段登るごとに、平になって場所があり、休憩をすることができます。
山門を通り拝殿まで来ると、一対の龍柱の龍の頭が上に伸びているのが目に入ります。殿内に入ると、赤い色をした欄干に囲まれた祭壇を詳細に見ることができ、とぐろを巻いた龍が珠を吐いている「龍陛」に気が付くことでしょう。鼓楼へ回ると、孚祐帝君大殿に着きます。三階だてで、一階は香客房という宿泊施設で、以前は祈夢室でした。当時、もし信者に願いがあって、呂洞賓の同意が得られた時には祈夢室に泊まることができ、夢の中で指示を得ることができるとされました。
仙公廟の左後ろの小道を行くと、大雄宝殿へ着きます。二、三階が正殿で釈迦如来がまつられています。その中でもタイの巴博元帥が寄贈したタイの国宝の金の釈迦如来はインドのガンダーラ時代のインド仏像の形態を参照して、九種類の金属の鉱石から鋳造されていて、この廟でも最も特別な仏像です。仙公廟の右後ろの小道を通り、心がやわらぐような景色の坂道をまっすぐに行くと、凌霄宝殿に着きます。門の軒の上で天兵と天将が護衛をしており、殿内にはたくさんの神仏がまつられていて荘厳で慎み深い雰囲気です。
宝殿の左側の道を行くと、視界が広々とした指南観光楽園です。隣には、キャンプ場があり、その間の山道は孔子殿に通じています。孔子殿の外には白壁があり、壁に孔子と弟子が諸国を周遊している浮き彫りが彫られており、そして周りを一頭の麒麟がめぐっていて、鳳毛麟角のように貴重な孔子の精神を象徴しています。
言い伝えによると呂洞賓は八仙の中で唯一の女神である何仙娘への恋がかなわなかったので、恋人と一緒に訪れると嫉妬をすると言われています。よって、恋人と別れないように、恋人と一緒に行かない人もいます。