台湾にはたくさんの宝物が隠されています。時には、ごく普通のオフィスビルの中に素晴らしい博物館が隠れているので、気づかないで通りすぎてしまいます。台北市建国北路のビル地下一階にある台湾ミニチュア博物館も外観は普通のビルですが、いったん館内に足を踏み入れると、精巧なミニチュアの家や景色に魅了され、圧倒されてしまいます。
台湾のミニチュア博物館は世界最大、アジアで唯一のミニチュアアートを集めた博物館です。1995年にオープン以来、参観者は年間平均十数万人にも上り、林文仁さんと奥さんが設立したこの博物館は今や台湾で最も人気の高いミニ博物館となっています。ミニチュアアートがもともと大好きだったご夫妻は、海外を旅行しているとき、アメリカやカナダの工芸品に魅せられて、この博物館の設立を思い立ちます。
館内で一番高い作品は、バッキンガム宮殿です。価格は30万米ドル余り、台北の中心地の家屋1軒が買えるほどの値打ちがります。その他のミニミニ家具でも2~3千米ドルが普通といいます。いろいろなコレクションが揃ったところで、この博物館を正式にオープンしました。
【ドールハウスとルームボックス】
ミニチュアアートは400年ほど前にドイツで始まりました。その頃のドールハウスは大部分が寝室と台所だけから出来ており、女の子に家事を学ばせようと製作されました。19世紀になると、ミニチュアアートは英国に伝わり、注目を集めるようになります。製作法がさらに進歩し、それとともに、一つ一つの部屋が一段と複雑に精巧になり、「ルームボックス」と呼ばれる新しいタイプが現われました。そして、アーチストたちは部屋を飾る家具や絵画、照明、陶器、ガラス製品についても、外観ばかりでなく、細かい点も正確に製作するようになりました。
ミニチュアアートと普通の模型の大きな違いは何かです。ミニチュアアートは、建物の外観を精巧に再現しているだけでなく、国際規定の縮尺通り、1:12で製作されました。第二は、本物と同じ材料を使っていることです。人物や動物など命のあるもの以外は、例えば、テレビは画面が映り、蓄音機は音楽を流し、テンの毛皮のコート、ビン入りのブランデー、書籍、油絵、シャンデリアなど、すべて実物を縮小しています。
【充実した収蔵品で人気が高まる】
館内の収蔵品は1995年に初めてお目見えしてからも増え続け、林文仁さんは精巧な工芸品と尽きせぬ想像力で、夢とファンタジーの王国を創りあげました。ドールハウスやルームボックス、そして、クラシックカーや船を見ていると、いつの間にか数世紀前の上流社会に思いをはせています。そして、一つ一つのコレクションが秘めた生命力に魅了され、想像力をかき立てられます。ミニチュアアートの縮尺は大体が1:12ですが、ときには1:24、1:48、さらには1:120という作品もあります。当博物館が収蔵するドールハウスとルームボックスは150点を超え、大部分がアメリカやカナダ、イギリス、その他のヨーロッパの国のアーチストが製作しました。その中には台湾や日本のアーチストによる作品もあります。
【人気のコレクション】
博物館に入ると、真っ先に目に入るのがローズハウスです。これは、アメリカのミニチュアアーチスト、Reginald Twigg さんがロサンゼルスにかつてあった建物をもとに製作したものです。この豪邸「ローズハウス」は1:12の縮尺で、4年の歳月をかけて完成、ミニチュアアート雑誌「Nutshell News」からは25年来の十大傑作の一つとの評価を得ました。バッキンガム宮殿は同館のコレクションの中で最も華麗な作品です。宮殿内部をのぞくと、女王の謁見の間、迎賓室、ダイニングホール、画廊などが再現されています。
ミニチュアアートはどんなに小さいものでも、思わず立ち止まって見入ってしまう不思議な魅力を持っています。いろいろな角度から眺め、アーチストの投入した時間とその気力に驚嘆します。数々の建物は、ユーモアあふれるエピソードや歴史的な意義をも伝えてくれます。そして、古代ローマの廃墟からルイ十五世の大ホールへ、昔の英国のパブから魅惑的なオペラハウスへと移り変わる時間と建築様式、各時代の流行をゆっくり楽しむことができます。
当館では、ミニチュアアートを知ってもらおうと、子どもたちの模型製作教室を開催中です。その他、館内のギフトショップでは、家具や生活用品のミニチュア、鉄道の組立て模型のDIYセットなども販売しています。